HOME  18:42 2004/05/30



2001年、使ってみたい薬ランキングの第3位に登場した「透明人間になれる薬」。 けどそれは単に手段であって、透明人間の皆さんが何される気か知りませんが、 透明人間の実現に対する妄想はとどまることを知らへん。

@よくある話
たとえば、H.G.ウェルズ「透明人間」(直訳:不可視人間)、 島田荘司「透明人間の納屋」(透明人間が存在すれば説明がつく密室事件)から、 ドラえもんの秘密道具でも「透明人間になる目薬」 なるものが描かれている(読んでないケド、水晶体になればいいらしい)。 映画では「インビジブル」が分かり易いですか。アニメなんかでもよくあると思う。 いずれの娯楽分野でも、その存在はやはりストーリィ材料であって そのメインテーマは欲望であったり孤独であったり、透明人間を扱ったもんは非常に分かり易いと思う。

とりあえず実際に透明人間になれる薬が実現して、その透明人間が何をしてどうなるかという顛末は 過去の産物を参考にするとして、 大怪我をしても他の人にわからないとか、食ったものがみえるとか、はげても平気とか、寒いとか いろいろ透明人間なりに考えることがあるらしいが、それは透明人間の発想力に委ねよう。

ここでは、どうやって透明人間を作るかということ。なにをいまさら。

@どうする?
透明人間というからには、単に色素が無いんだろうと。 ええ、なにごとも単純なモデルにすることができるそうですよ。 もしかしたら色素が無い人がいたりするかもしれへんが、その人とて白っぽいはずやん。 色素を取り除くために、投薬や超短波による色素破壊とかあるかもしれないが、 そこんとこ詳しくあらへんからまあいいやね。 でも白っぽいはずだ。無理やん、透明人間は。

透明人間の問題としてありがちなのは、 人間の体細胞がガラスのように透明になったとしても屈折率の違いで認識できるということと、 網膜も透明になって周囲の景色が見えないってこと。 これらはSF作家のA.C.クラーク「未来のプロフィール」で指摘されている。 他にも、食ったものの消化過程が観察できるとか、ヘモグロビンが酸素を運べなくなるとかいわれてるが、 ウイダー食えばええし、代替血液(リンゲル液+酸素)でなんとかしてくれ。 視覚は眼球を使うんじゃなくて、脳内投影でゴリ押し。

他の方法はってんでまたH.G.ウェルズを参考にしようか。 久しぶりに、といってもさっき出たばっかやけど、薬品庫に入った。 ここは常温倉庫で、外に比べて湿度が低くなっている。 監視のため受付嬢がついてくるが、気にせず目的の棚「RRR調節」へ向かう。 そこに加速薬というものが保管されてました。その瓶のラベルには、人間を数千倍に加速する薬、 とあるやん。これは使える!さっそく実験だ、ということで嬢に飲ませてみた。 その瞬間、嬢は消えうせた。成功か? しかしよく考えてみるとこれは 数千倍早い動作で人間の目の動体視力を超えようというアプローチやけど、 被験者の体が加速衝撃に耐えることができず服薬した直後に木っ端微塵に粉砕したんだと気づいて。あかんやん。

それからタイムマシン的に、過去に通過した質量因子を捕獲する方法は対象に対して干渉することが できないため金にならんだろうな。そんなことは無いだろうケドひみつ。

@ITを活用せよ(いまさら)
結局、物理的に無理だということはSF作家が言ってることだから妙に納得できてしまう。 そこでIT革命時代人間なら誰でも考えるであろうVRがその実現手段として出てくるわけだ。 いつも時代を先行するのは大衆娯楽であるように、VRを利用したものとして 映画「プレデター」、 士郎正宗「攻殻機動隊」やプレステ2「メタルギアソリッド」では光学迷彩を 身にまとった奴らが好き勝手してる。要は忍者ハットリ君とかハマーの隠れ蓑のハイテク版なんですが、 これは赤外線スコープで丸見えなわけやね。夜に光を当てると影が出るし。 アメリカの陸軍とか東京大学でも光学迷彩の研究が行われていて、 いくらかの制限があるが、攻殻っぽいのができてる。 しかし実用化の現実的な問題として、大槻教授は「コストベネフィットが低すぎる」といっていたそうな。 理論的なことはそろってるはずやから、あとはそれに適した新素材の開発と 安価なシステム待ちですか。ユビキタス社会でもウェアラブルコンピュータは待ち望まれてますが。

今後、VRがどれほど一般的になるかはわからないが、 ラフォージのバイザーは難しそうでもPleaseHelpMeグラスぐらいは実用化しそうやん? 目の前の風景を認識し、情報をつけて眼前に映し出す、スカウターみたいなの。 このグラスは情報を取得するためにネットワークに接続するやろう。 そのとき、目の前の人間に対するデータを背景データと差し替えてしまえば、 透明人間の出来上がり。ほんとかよ。

@結局人間
今のところ、透明人間の実現は透明にならない方法しかない。 世界のどっかに、クライアントのどんなわがままでも叶えるというコーディネイタがいるらしい。 ただし、彼のクライアントになるためには莫大な金財と、彼の連絡先を知ることができるネットワークが必要だ。 一般人お断りだ。 やから一般人はこれ以上読んでも意味が無い。

あなたがまず彼を見つけてクライアントとして認定されたなら、一言、「早く透明人間になりたいッ」と言ってみよう。 彼はベムを知らないからエクスチェンジにも気づかずにただ静かに頷くだけだろう。 しばらくして、あなたは招待状を受け取る、そこには、ある町に行くように、 そこであなたは透明人間として生活することができると書かれているだろう。 あなたはその町に入った。透明人間なので無職なのはいうまでもないが、 町の人に話し掛けてもどこから声が聞こえるか驚くばかり。 透明人間を満喫したら孤独感が襲ってくるだろうが、まだ生きているなら町から出ることをお勧めする。 クライアントである限り、好きなときにこの町に来ればいい。

これって単にいぢめなんやけどな。

@応用!
透明人間になってはみたものの、結局は頭のてっぺんからつま先まで人間であることを確認したあなたは 実社会はともかく以前にも増して人の愛を求めるようになりました。 この場合、本物の透明人間と違うのは透明じゃないということは明白やけど、 ドーナツの中心と違って自身の存在を自身で確認できることは大きな非常口になっている。 やから町の人に対しての非人道的な干渉は制限され、自身の判断によって容易に脱出が可能だ。 たとえ精神的な空洞化が起きたとしても、身体が存在する限り埋めることができ、 そのときの物理的埋設感は快感を得やすい。

日本的に言うならうまいもん食わせてやるから働けってんで、食事に出てきたのは 貧民菜食って感じやろうか。 がまん寺とか逆認知療法とか行動療法とかじゃないんやけど、 こういう非社会的強化療法が実は愛情遮断療法として行われている(スパルタではない)。 対象に攻撃性と社会化学習の欠如といった症状が見られる場合、これまで与罰による 矯正が一般的やろう。しかし効果があがらない場合が多く、逆に攻撃的な態度が見られることがある。 そこで愛情遮断療法を実施し、支配的地位を逆転することができたそうだ。 この場合重要なこととして、対象者に攻撃的な自己主張性と行動制限があったということ。 そうでない場合、対象者自身が治療に絶えられない可能性がある。 また治療者には十分な予備知識が必要であり、透明人間が住む町(?)の人たちの 行動は事細かくマニュアル化されているはずだ。

@ケツロン
認識と行動の中に僅かでも差異が生じた場合、誰もが不自然だと感じることでも、 特に透明人間の場合その反応は敏感になりうる。 そのときの入力を遮断することで、エクステンションを維持することができる。 かくして透明人間は「早く人間になりたいッ」となるわけやね。

必要なのは完全なマニュアルとそれに従う演技者であって、 無責任に世界は自由と謳う教科書は無視しろってこった。

窓からボブサップ投げた自室にて。
どこに飛んでいったやら。