第52章 バックステップミーダー SL9 創生編
彼の手により作られたものは夢のタイムスリップマシンか。それとも単なるシミュレーションで終わるのか。
 
 
  第51章 バッサンドラウツ
はったり錬金術師と天才科学者。先にホムンクルスをつくることができるのはどっちだ!?
 
 
  第50章 SL9 市川祐介編
いつもそうだ。目の前で起きていることを自覚しておきがら、自分を動かすことができない。やり直すことはできるが、そのために約束を破ることは許されるのだろうか。許してくれるだろうか…
 
 
  第49章 SL9 佐藤美恵編
今日のラッキーカラーはブルーだったんだけど、ブルーのラインがないみたい。好きな色はグリーンなんだけどこの色のラインもない…。あるのはグレーのラインが9本。今日は何回繰り返す?これ切ったらまた白くなって……
 
 
  第48章 白のライラック
記憶の中に、知らない女子高生と楽しく遊ぶ僕がいる。このときの僕は気づいていない。第一、誘拐という単語さえ知らなかったのだから。
 
 
  第47章 偽りの天使・後編
彼はその画家を直視することはできなかった。教会にとらわれ、搾取され続けた人生をうらんでいても、画家の筆先からその意思を読み取ることはできなかった。自分が描く絵への誇りか、それともすでに自分を忘れてしまったのか。
 
 
  第46章 御人(ONI)
14日 取材のため伊来市に取材車で移動中 石田不注意により事故発生 時刻およそ23時半 現在の日付 時刻不明 現在地不明 おそらく事故現場から50キロ以内 隔離人数約70名 目的不明 欠落者なし
 
 
  第45章 SL9 ブレイカーズ編
未だ天地無用先に通ず、とはこのことだ。と、彼は勝手に理解した。 暗闇にちりばめられ、わずかに振動する。光の粉を撒き散らして、夜空は奇妙なほど輝いている。 今夜は星がない、それがゆえに重力を感じることができない。 一人ずつだ。この自然が産み出した意思の崖から飛びたければ、咎めん、それも自由だ。 音は流れ、波は順に崩れゆく。だからこそ消さねばならん。残してはならんのだ。

旧愛好会長といえど、間違った思想は改めてもらわなきゃあならん。このがれきのどこか物悲しい雰囲気がわかるか?これこそ人間の苦労がむくわれる形なのだよ。

 
 
  第44章 SL9 水島律子編
 最近彼女は、ロビー上の日の当たるテラスで食事することが多かった。 日差しが強いこの季節、肌が焼けるのもかまわずそこで弁当を広げる。それだけ窓際が好きになっていた。 今日はあそこには行きたくない。そんな気持ちが心をよぎっても結局はいつもの場所にいた。 昨日食べた弁当と同じ弁当をながめ、またか、と半ばあきらめながら箸をつける。 この場所で御飯を食べてると、また好枝に見つかるんだろうな。 そう思いながらも場所を変えることはできなかった。 以前だったら積極的に行動していた自分が、社会人になってからは、習慣的な行動からはずれることが怖くなっていた。

 「いた、いた〜!」 食べ掛けの弁当箱のふたを閉め、後ろからかけてくる好枝に身構える。 好枝は、律子がお弁当を食べているにもかかわらず、 部長(実はこの時点で部長と好枝は不倫関係にあった!)の悪口を散々吐き出した。  あ、それからね。芳江はもうひとつ用事があるような仕草をして、 「りっちゃんに会いたいって人が来てるらしいよ?なんかロビーで待ってるって」

 「誰?会社に来るなんて…」 もちろん知っていた。誰が来ているのかも。 しかしそんな芝居をしなければいけないような気がした。 「池崎っていうらしいよ。昔のこいびと?」 好枝が聞いてくるその言葉にかるく微笑みながらうなずく。 あとで教えてよ?との言葉を引きずりながらロビーに降りた。  ロビーには見覚えのある男が立っていた。どこにでもいるグレーのスーツ姿に深緑のネクタイをした男。 「その節はどうも」 そういって男は軽く会釈した。この男の事務的なところは以前と変わっていない。 「また…仕事ですか…?」 この男が自分の所にくる理由がそれしか思いつかなかった。 しかし、学生の時と違って、今はこの建設会社に就職している。無論、アルバイトのようなことは禁止されている。 「ごらんの通り、今仕事中なんですが…」 断る振りをした。 忙しいというのは本当だけれども、もう一度あのバイトをしたいという気持ちが、 心のどこかにあるということに気づいていた。 それを読み取ってほしかった。 この事務的な男に。

 しかし、男がここにきた理由はバイトのお願いではなかった。 「おそらく、知っておられると思うのですが、最近盗難が相次いでおりまして、 今回その調査とモデルのプライバシー保護のために、担当者である私が訪問した次第です」 こんな人通りの多いところでよくプライバシーのなんだの言えるものだ。 そのことは知っている。最近よくニュースで、盗難事件のことを報道していた。 すでに奇妙なうわさも広まりつつあった。 この男は、事件が解決するまで長期休暇でも取れというのか。 「とりあえず、今日はこれで失礼します。気が向いたらいつでもこちらにお電話ください」と、 それだけ言い残して、電話番号が書かれた名刺を手渡された。

 
 
  第43章 往ノ崎警察署
多くの人生模様が垣間見えるこの場所で、彼らは非日常的な事実を目にする。一本の凧糸は彼らを救えるか?!
 
 
  第42章 弦奏師
おっきいです。おもいです。もちはこび、たいへんです。小さくて、このせまい世の中じゃあ、うるさいかもしんない、けど。……感じて下さい。音なく流れるメニミエヌモノを。
 
 
  第41章 偽りの天使・前編
一枚の白いはねに込められた父の思い。それは風に乗り、人々に伝わり、やがて彼の息子に奇跡がおきる。
 
 
  第40章 パイプマン
 江戸の書記で「貝鋼伝路」というものがある。物事を理解するためには、それ相応の代償が必要なのだ。 なのにこの書記に出てくる藩所の役人は自分の身の程を知らず、周りの状況も知らずといった有様で、 そのくせに私腹を肥やすことを企んだばかりに、結局漁夫の利でいううなぎのようなことになってしまう。
それだけは避けたいと、何とか自分の身を守るための情報はつかんでいるつもりだ。 ただ、代償を払う必要は無い。自分の上を流れている水道管からねずみたちのために水を取るようなもんだ。 人を勝手に情報のパイプ役に使うからこうなるんだ。
 ただ、ひとつだけ、ねずみたちでさえ知らなかった女が家に押しかけてきた時には少しまいった。 そこは持ち前の冷静さでなんとか普通の人を演じることが出来たが(あれは完璧な対応だった)。 さすがに常に監視されているのは疲れる。隙を見せれば即やられるだろう。

 彼は命の恩人なんです。事故で家族がいなくなった日、うっすらとだけど病院に私を担ぎ込む彼の声を覚えています。 あの日から全てなくなってしまいました。私が住んでいたという家も焼け落ち、私の中から誰もいなくなりました。 ただ、彼の声だけが、記憶の中に存在し、ずっと響き続けています。
彼はやさしい人です。こんな何も無い私をいつも見ていてくれて、同じ職場に雇ってくれるように上司に頼んでくれたそうです。 ようやく家を見つけて押しかけた時も、やさしく迎え入れてくれました(いきなり羽交い絞めにされた時はちょっとびっくりしましたが)。 いっしょに林道を散歩していても、彼は落ち葉を踏みません。それは木の涙。一生を終えた木の葉にさえ、彼は敬意を表しています。 子供にだってとてもやさしいんです。
 ただ、気が小さいのか、なんだかいつも何かにおびえているよう…。

 部下として彼を監視しつづけて以来、いつもあたりを気にしている。 完全にそのことに気付いてはいるが、本質的なところは見えていないようだ。 冗談のような情報屋に馴れ過ぎてしまっているせいか、誰かを雇ったり、横流ししたりするような状況は見受けられず。 仕事は完璧にこなしている。これ以上も無いパイプ役だ。
 ヘボスパイ気取りで、ブービートラップを仕掛けたり、偽名を使ったりとしているようで、 何も知らないと確信はあったのだが、彼が自分で墓穴を掘ってくれれば楽だからな。 リークしていた組織員の掃除の時にちょうどいい餌が手に入ったから、ちょっと味付けしてひょいと与えてみた。
 プロはあくまでも常識の範疇で行動を取る。その点に関しては生真面目なヤツが多いと思う。 落ち葉だって踏む、ホテルを使用する時は本名を使う。ましてや子供を味方に付けようなどとは考えないことだ、 組織が育てた子供は怖いものなしだからな。 現段階では私が気にすることではないが。

 
 
  第39章 デュラムセモリナ
究極のこだわりは素材から。その精神で今まで通してきたが、それは完全に覆された。
 
 
  第38章 ブックハンター
新刊古本希少骨董絶版古典あなたが探している本を提供いたします。
 
 
  第37章 赤きミラライバ
村人達から慕われる若き村長さんの最近のなやみごと。ひとつだけ納得いかない。この赤い液体に眠る真実を知りたい。
 
 
  第36章 アイアンハート
彼は狡猾ではないが、昔から巻き込まれるものは多い。あるときだけ彼に宿る、周りのものをひきつける力。
 
 
  第35章 テンプランツボディ
ヤツの体は回りくどい、というのが彼らの感想。オレの肉体は面倒だ、というのが本人の感想。
 
 
  第34章 銀風霊草は永遠に
黒死病の特効薬はない。だが、存在しないわけではない。いま手元に原料がないのだよ。それだけだ。
 
 
 
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